【要約教室】ほんとうに人間はいいものかしら
中学生の生徒が「手ぶくろを買いに(新美南吉)」を要約しました。
「人間ってちっともこわかないや。」
という子ぎつねの言葉をきいて、人間を怖い存在だと教えていた母ぎつねが
「ほんとうに人間はいいものかしら。」
とつぶやくお話しです。
地元公立小学校で使用している国語の教科書には載っていませんが、この話を掲載している教科書では3年生の後期に学ぶお話しです。平易な文章で、高学年や中学生が読むには物足りないのでは、と思われるかも知れませんが、要約の取組みはじめにはなかなか適したお話しです。
要約を書くには「作者の言いたいこと」を読み取る必要があります。物語の最後で2度繰り返される母ぎつねのセリフから作者の言いたいことを読み解こうとすると、面白い問題が見えてきます。それは、母ぎつねの人間に対する気持ちの解釈において、「人間はいいもの」という前提で考える人が多くいる一方で、「人間は怖いもの」と考える人も少なからずいるということ。人によって意見が分かれるのです。
読む人によって解釈が異なっても、「要約」ということであれば、要旨は1つに収束するはずですが、書き手の理解力やどの視点から書くかが反映されるものです。
大人になりつつある中学生が、お仕着せな解釈ではなく、物語をどのように読み解くのかとても興味があります。
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